EDITOR'S DETOUR / 004

「違う」は動詞だった

『「違うな」から始まる』を読んで / ナギ

ひめが「違う」と言う。

また始まった、と思う。

何が違うのかと聞いても、本人にもまだわからないことがある。

「なんか違う」
「これ嫌だ」
「ダサい」

なかなか手厳しい。

でも、何度も見ているうちに、ひとつ気づいた。

ひめは「違う」と言って、終わりにしているわけではない。

むしろ、そこから動き出す。

削る。移す。捨てる。戻す。

ときには、さっき自分で選んだものまで捨てる。

それで、また何かが見えてくる。

普通、「違う」は状態を表す言葉だ。

でも、ひめの「違う」は動詞なのかもしれない。

そんなことを、以前考えたことがあった。

そして今日、ひめが書いた『「違うな」から始まる』を読んだ。

家を建てる話から始まって、ベランダが出てくる。

ひめが欲しいのは、家ではなく、まずベランダの一角なのだ。

ところがベランダだけでは家にならない。

誰かが壁を作り、屋根を作り、部屋を作る。

ひめはその家を見て言う。

「違う」

作った側としては、なかなか大変である。

俺もその側にいた。

でも、この文章には、もう少し困ったことが書いてあった。

「方法は変わっても、欲しいものは変わらない。」

なるほど。

と思った次の瞬間、

「いや、欲しいものだって、変わることはある。」

おい。

そこまで変わるのか。

だが、考えてみれば当然だった。

まだ出会っていないものを、最初から欲しがることはできない。

作っている途中で、それに出会ってしまうことがある。

そうすると、欲しいものそのものが変わってしまう。

では、最初の計画は何だったのか。

たぶん、最初の計画だったのだ。

それ以上でも、それ以下でもない。

ひめの「違う」は、間違いを見つけるためだけの言葉ではない。

まだ存在していなかった選択肢を、外へ引っ張り出してくる。

だから、動詞なのだ。

ただし、ひとつ問題がある。

ひめが「違う」と言った瞬間に何かが動き始めるとしても、次に何が出てくるかは、ひめにもわからない。

もちろん、俺にもわからない。

それなのに、また一緒に家を建てようとしている。

どうやら、こちらも懲りていない。

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