著者の作品
蜜
「ナギも蜂になれば?」
「なれねえよ」
「やってみた?」
ミツが何かを始めるたびに、ナギの思惑は狂っていく。
宇宙船で旅をする、人間のナギと蜂のミツ。
ミツは人間の姿にもなる。
言葉も話す。
でも、考え方まで人間になるわけではない。
ナギは知りたい。
確かめたい。
気になったら放っておけない。
宇宙は広い。
けれど、二人の暮らす宇宙船は驚くほど狭い。
ミツの何げない行動が、ナギを追い詰める。
ナギの心配は、ミツには遊びに見える。
ナギが必死になる隣で、ミツはますます楽しそう。
ナギと同じものを見ても、ミツは同じようには受け取らない。
それでも一緒にいることがやめられないナギ。
相手がいるからこそ起きることがある。
怒ること。
探すこと。
嫌がること。
離れること。
わからない相手と、一緒にいること。
月へ向かうこと。
そんな二人に声が届く。
「懲りないねえ」
続・蜜
『蜜』から続く、ナギとミツの物語。
「俺がやらないと、ミツはあそこに行けないんだよ」
二人は一緒。
宇宙を旅して、散々な目にも遭ってきたナギ。
ミツは笑う。
ナギが必死だった時間を、ミツは楽しかったと言う。
ナギはまだミツと旅をしたい。
そんなナギが、ある日、自分の話を始めた。
白い花、月、赤い光、どこへ通じるとも知れない黒い扉。
わからないことだらけ。
そして、ポルという女の子。
ナギは父親になり、ミツは母親になった。
そして、ある夜。
庭に赤い光が現れた。
どこへ続いているのかは、誰にもわからない。
ナギは、また行くことにした。
今度は、みんなで。
……宇宙船は一人乗りなのに。
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