最近、「好き」という言葉が言いにくくなった。
嫌になったわけじゃない。
「好き」がなくなったわけでもない。
ただ、好きって、対象の話じゃなくて、自分の話じゃない? と思うようになった。
「この曲が好き」
と言っても、その曲に「好き」があるわけじゃない。
好きなのは、私だ。
「この人が好き」も同じ。
その人を好きになっている私がいる。
そう思ったら、なんだか相手を「好き」と言うのが変になった。
反対に、好きです、と言われても、「はい、そうですか」と思う。
別にどうでもいいんじゃない。
むしろ、その先が知りたい。
会いたい。
もっと話したい。
声が聞きたい。
隣に座りたい。
帰ってほしくない。
また明日も会いたい。
そう言われたら、私との間に何が起きているのかがわかる。
でも、「好きです」は、その人の中で起きていること。
だから私は、で? と思うのかもしれない。
前に、不倫をしている二人を見て、歌を書いた。
その歌の中に、こんな言葉を置いていた。
「私のこと好きなんて言わないで」
そう言うその人は、「次はいつ会えるの?」と何度も聞く。
好きとは言わず、会いたいと言う。
おもしろい。
「会いたい」の方が、よほど相手に向かっている。
「好き」は自分の中にあるけれど、「会いたい」は一人ではできない。
相手がいる。
だから、時に、苦しい。
最近、好きの代わりに違う言葉を使いたいと思うことが増えた。
たぶん私は、動かないものに飽きたんだと思う。
今は、”そっち”の方がほしい。